第88回新制作展 開催のご挨拶 委員長 ⻄村 俊夫
新しい空間と新しい意味をつくる
第88回新制作展 委員⻑
⻄村 俊夫
新制作展は今年で88回展になります。新制作協会マークは、創立会員の猪熊弦一郎氏と脇田和氏により考案されたもので、マークの矢印は向上と前進を表します。この向上と前進の精神は、今日の新制作展にもしっかりと受け継がれています。
現代社会には解決の難しい問題が数多く存在します。そして、それらは複雑に絡み合っています。それを解くには様々な思想や手法で多方向から取り組む必要があります。他の事柄と関係を持ちつつも独自に中庸の答えを導き出す思考も有効な方法であると考えられます。本来的に美術はそういう立場にある存在であると思います。美術は、絶対的な答えを導き出す活動ではなく、新しい意味や創造性を追求する活動です。観る人に癒しや共感を提供し、多様性を大切にする活動です。新しい可能性を追求する美術は、人間らしさを高める力を持っています。
新制作協会は絵画部、彫刻部、スペースデザイン部の3部で構成されています。新制作展では、現代のアートの状況を反映した挑戦的な作品や日常的な生活行為の延長から生まれた作品など、多様な作品が展示されます。そこでは、鑑賞者と作品との間に新しい空間と新しい意味がつくり出されます。多くの方の参加を期待します。
