第86回新制作展 開催のご挨拶 委員長 永津 守
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2023年第86回新制作展開催にむけて
86回展委員長 永津 守
本年、新制作協会の委員長を務めさせていただく永津です、よろしくお願いいたします。ここでは昨年85回展の感想を述べてご挨拶に変えたいと思います。会場を見た感じでは特に絵画部の新会員・受賞者が充実しているなとの印象を受けました。その中で3点取り上げさせていただきたいと思います。新会員の仲田道子さん『ライフチェンジング』、新作家賞の木滑美恵さん『ユダだけでなく』、同じく小松隼人さん『Mellow Gold』で、同じ部屋の近い場所にありましたが共通する現代性を強く感じました。もちろん表現内容・形式は独自の世界をそれぞれお持ちなのですが、芸術の要素としては造形力の他に普遍性というものがあり、この3点にある普遍性、現代性を一言でいうと「人体により構成された異空間の表現」になると思います。
現代人にほぼ共通する世界観として、この世界は宇宙空間でありその中に物質とエネルギー、そして人間(生命、意識)が存在する、というのが大まかな認識ではないでしょうか。この世界観が100年前あるいはそれ以前と少し違うのは、空間が遠近法や透視図法、x,y,zの3次元座標軸で認識されるものではないのではないかという予感です。このあたりの先端的な世界観は20世紀初頭ぐらいから現在まで、芸術だけではなく数学や物理学でも研究されていると仄聞していますが、昨年の新制作展でもこの世界観のひとつの表現が出現してきたということになると思います。スペースデザイン部はその名の通り空間で人体表現はありませんし、彫刻部でも空間表現となると抽象形態となるのですが、この3人の方は人体をもって空間を表現しょうとするところに新しい世界の可能性を感じました。 ここに受賞者、新会員の存在が公募展の成長点であり、新しい世界を吹き込むという公募展の理想的な在り方があると思います。SD部のミニアチュール部門も新しい風を吹き込みましたし、今年からの彫刻部の新部門『空間表現35³(仮称)』にも期待を寄せています |
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