<作者から>
重力に対するささやかな抵抗。
それは、いわば我々にとって生活することである。
地に対して立つ、そして時には休み横になること。
これら姿勢に我々は、その人の意思を読む。
人に限らず、このような様相は、様々なものの中に潜んでいる。
たとえば、木に石に土に対しても見出される。
いかなる姿勢をとり、いかに生活するか。
作者の働きかけで、乾漆もまたある姿勢をとり始める。
作者は彫刻に「いかなる姿勢をとるのか」と問う。
「このような生活に」と願う。
願いは空間に触れ、ときに歪みつつも実現される。
作者はこれを見て、また明日を創造しようとする。
一方で歪んだ願いは、たしかに歪んではいるが、だれかの主観と奇跡的に通い合うかもしれない。
作者は、稀に言葉が通じ合うのを待つ。
彫刻は事実であり、そこに詩を見出したいとおもう。 |